【京都大学・セイコーエプソン】アートイノベーションとデジタル捺染を融合させる共同研究を開始

 京都大学大学院総合生存学館アートイノベーション産学共同講座(代表:土佐尚子特定教授)と、セイコーエプソン㈱(以下エプソン)は、土佐教授がこれまで推進してきた「アートイノベーション」と、エプソンのデジタル捺染技術を融合させて、新たなインクジェット技術の価値創造を目指すための共同研究を開始。12月14日に会場とオンラインで記者会見を実施した。
 この研究は、アートとデジタル捺染技術を融合した「アートをまとう」のコンセプトのもと、デジタル捺染の特長を生かした方法で、映像アートを布地に安定的・高画質に再現。アーティスト個人がオリジナルデザインの服飾品を、必要な量だけ生産し、販売できるビジネスモデルの実現を目指すもの。
 エプソンは、スクリーン等による従来の生地へのアナログ捺染に対して、デジタル化されたイメージを高画質・高精度に直接布地へプリント、転写するデジタル捺染の技術を推進してきた。これは、刷版を必要としない小ロット短納期の生産に適しているほか、水やインク、化学物質の使用量を大きく削減し環境負荷を低減。同社は、これまで土佐教授のアートの代表作である「サウンドオブいけばな」やその他のアート作品をデジタル捺染により服飾品にするというアートファッションの試作品を制作してきた。
 今後、これまでの試作品を通じてさらなるデザインと品質の向上を図るとともに、ECサイトでこれらの作品の販売を予定。服飾品の意匠性を芸術領域まで高める制作、ECサイトでの販売活動から得られるノウハウをもとに、デジタル捺染技術による分散印刷、消費地生産、小ロット、短納期、在庫削減、パーソナライゼーションを実現し、アーティスト個人でもオリジナルデザインの服飾品を、必要な量だけ生産、販売できるビジネスモデルの社会実装を目指す。

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